2016年03月03日
第2回 胃がんリスク検診フォーラムの報告 ~その1
データヘルス計画とABC検診
―当健康保険組合のデータヘルス計画におけるABC検診の取り組み状況および取り組むべき課題―
日本中央競馬会健康保険組合
事務局長 関 勝廣
JRA健康保険組合はデータヘルス計画をきっかけに自健保の疾病・医療費分析を行う中で「胃がん対策」が最重要課題であることにたどり着きました。
胃がん対策として、これまでの胃部レントゲン(バリウム)検査の受診率の低さや発見率の低さに疑問を抱えつつも手付かずにしていたのも事実です。
そういった中、胃がんを発見する方法としてのABC検診が非常に優れていることを知り、重い腰をあげ、三木先生の主催するABC検診セミナーに参加することになりました。
そのセミナーの中で本日も講義される富士フイルムメディカルの岡本先生の「胃がんの原因がピロリ菌であり、そのピロリ菌の除菌が世界の中でも日本が飛びぬけて遅れてしまっているという事実」を知ったのは青天の霹靂でした。
そして、当健保がABC検診をデータヘルス計画で取り上げ、その経過や結果・有効性を伝えることで、他の健保さんや自治体の方々が少しでも早く実施してもらえるよう、三木先生の活動に協力していきたいと強く願うようになり今日に至ります。
今回のシンポジウムでは、当健保組合がこれまで取組んできた内容やその経過に加え、ABC検診の有効性をこれまでのバリウム検査と「疾病発見率」や「経費面」からも掘り下げ比較してみた内容を紹介します。
また、ABC検査後の胃カメラへの誘導やピロリ菌除菌までの当健保での取組み内容を紹介するとともに、その管理方法で悩み、実施を見送っている健保さんや団体の方々のために、レセプトでの確認無しでも検査実施後の管理が可能になる新しいABC検診の流れも紹介します。この流れを取り入れることにより、本日お集まりのこれからABC検診採用を考えている方々の重いハードルを少しでも軽く出来ればと願っています。
また、当健保では今後の展開として被扶養者・任継・特退の方々へのABC検診のアプローチも考えているところですが、まだまだ、全ての医療機関でABC検診の実施を行っているとは言いがたい現状を考えると「郵送検診」という方法が現段階では有効であると考えています。
皆さんが迷っている間にも、胃がんで亡くなっていく方は後を絶ちません。
実際にABC検診を実施し早期胃がんの治療を終えた方々から感謝の言葉をいただいております。医療・健康管理に従事している我々にとっての最高の一瞬なのではないでしょうか。